惑星衝突問題

高校時代, 運動方程式と万有引力の法則からこんなことまで計算できるのかと驚愕しました!

(2017年2月21日更新)

 

問題

無重力空間において, 質量 M \ [{\rm kg}]  の惑星と質量 m \ [{\rm kg}]  の惑星がある時刻に距離 L \ [{\rm m}]  だけ離れて静止しているとする.

この 2 惑星を 1 つの系とみなし, この系に及ぼす外力の総和を 0 と仮定して, 静止状態から 2 惑星が衝突するまでの時間 T \ [{\rm s}]   を求めよ.

ただし万有引力定数を G \ [ {\rm m^3 / kg \cdot s^2} ]   とし, また 2 惑星の直径は距離 L  に比べ無視できるほど小さいものとする.

 

 

 

 

 

略解

2惑星を結ぶ直線を x  軸, 2惑星の時刻 t  での位置を x_M(t),  \ x_m(t)  とする. 惑星それぞれについての運動方程式

\displaystyle -\frac{GmM}{(x_M-x_m)^2} = M\frac{d^2 x_M}{dt^2} , \ \ \ \frac{GmM}{(x_M-x_m)^2} = m\frac{d^2x_m}{dt^2}

から, r(t)=x_M(t)-x_m(t), \ k=G(M+m)  とおけば

\displaystyle -\frac{k}{r^2} = \frac{d^2r}{dt^2}, \ \ r(0) = L, \ \ \frac{dr}{dt}(0) = 0, \ \ r(T) = 0.

第一式の両辺に \displaystyle \frac{dr}{dt}  をかけて 0   から t  まで積分すると次のエネルギー保存則を得る:

\displaystyle \frac{1}{2} \left( \frac{dr}{dt} \right)^2 \ = \ k \left( \frac{1}{r} - \frac{1}{L} \right) \ = \ \frac{k(L-r)}{Lr}.

\displaystyle \frac{dr}{dt} \ = \ - \ \sqrt{\frac{2k(L-r)}{Lr}}.

\displaystyle T \ = \ \int_{L}^{0} \left( \frac{dr}{dt} \right) ^{-1} dr \ = \ \sqrt{\frac{L}{2k}} \int_{0}^{L} \sqrt{\frac{r}{L-r}} \ dr.

u = \sqrt{L-r}  と置換すると \displaystyle r = L - u^2, \ \frac{dr}{du} = -2u  より

\displaystyle T \ = \ \sqrt{\frac{L}{2k}} \int_{\sqrt{L}}^{0} \frac{\sqrt{L-u^2}}{u} (-2u) \ du

\displaystyle = \ \sqrt{\frac{2L}{k}} \int_{0}^{\sqrt{L}} \sqrt{L-u^2} \ du

\displaystyle  = \  \sqrt{\frac{2L^3}{k}} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos ^2 \theta \ d\theta

\displaystyle  = \ \pi \sqrt{\frac{L^3}{8k}}.

ただし途中 u = \sqrt{L} \sin \theta  と置換した. 以上より

\displaystyle T \ = \ \pi \ \sqrt{\frac{L^3}{8G(M+m)}} \ [{\rm s}]. \ \ \ \ \ \Box

 

 

余談

2惑星の衝突までの時間 T   の表式に, 円周率 \pi   が現れました. 宇宙の神秘を感じますね. さてこの問題ですが, 太陽と地球の話だと思って L = 1.496 \cdot 10^8, G = 6.674 \cdot 10^{-11}, M = 1.989 \cdot 10^{30}, m =5.972 \cdot 10^{24}  で計算してみると,

T = 5.578 \cdot 10^6 \ [{\rm s}]

となります. \displaystyle \frac{T}{60 \cdot 60 \cdot 24} = 64.56 \ [{\rm day}]  ですから, もし仮に太陽と地球が同時に静止した場合約2ヶ月後に衝突することになります!!