1/20 菊地成孔氏の授業(最終回)

今日の5限は菊池成孔氏のゼミの最終回だった。

ゼミの題目は「12音平均律→バークリーメソッド→MIDIを経由する近現代商業音楽史」。

前後期通じて行われた講義形式(コント形式?)の非常にユニークなゼミだが、

俺は前期は何を誤ったか木5に「代数学入門」なるゼミを取って

一生懸命数式をいじくっていたため参加できず、後期からの聴講となった。

 

(前期はジャズの音源をかけまくって、楽理分析などもやっていたらしい。ほんともったいない!)

 

東大生よりもモグリのほうが圧倒的に多いという、非常に珍しい(しかし注目度の高い)ゼミ。

毎回、おじさんおばさんもたくさん聴きに来てる。

今日は最終回で、さらにゲストで濱瀬元彦氏が来たということもあって、

教室はいつも以上に人で溢れかえっていた。

 

さて、1月のテーマは「ポスト/カウンターバークリー」。

20世紀に入ってクラシック音楽の理論と対になる形で

(ジャズの理論を根源として)バークリーメソッドが確立され、それとほぼ同時期に

アンチバークリーという形でジョージ・ラッセルのリディアンクロマチックコンセプトが誕生したりもした。

 

今日はゲストの濱瀬氏が、バークリーともLCCとも違う独自の音楽理論(ラング方式)について1時間半にわたって熱く語ってくれた。

 

今回焦点となったのは、ブルースと調性、そしてその自然物理学的な根拠について。

 

濱瀬氏は和声二元論的な立場をとる。

和声二元論とは、長調と短調を対等な関係と考え、

長三和音と短三和音が上方と下方に鏡像的に構成されると説明する和声理論。

これまでの音楽についての自然物理学的現象による説明といえば、

ピタゴラスに始まる弦の長さの調和的分割による音階に同値な音列、倍音列

(C1, C2, G2, C3, E3, G3, …のように基音に対して共鳴する音列)によるものが普通であった。

 

しかし、和声二元論では通常の倍音列(上方倍音列)を鏡に返して作る「下方倍音列」に注目する。

下方倍音列は弦の長さを逆調和的に、つまり算術的に分割することで得られる音列。

この発想は18cにはすでにあったらしいが、

実際に自然物理学的な現象として観測できなかったため音楽理論ではタブーとされた。

(ラモーは実験に成功したらしいのだが、それは何か別の原因によるらしい。ここがよくわからなかった。)

 

 

しかし最近になって和声二元論を例証する音響現象が見つかる。

基準音と「澄明」になる音の集合を考えると、第5倍音までを考慮すると、

ちょうど基音より振動数の高い側に上方倍音列、振動数の低い側に下方倍音列が現れるのだ。

 

これはまさに驚きである。

 

菊池氏は「まるで精神分析における無意識層の発見のようだ」と言った。

大谷氏は「数学界における虚数の発見」に喩えたが、まさにその通りだ。

潜在意識下に短調の音列が存在する。。

そしてそれが実際に科学的にも証明されつつある。

何て驚愕的な理論なのだろう。

 

そして濱瀬氏はその理論を元に、ブルース音楽、すなわち長調と短調の(長三度と短三度の)混在する音楽が、

なぜ我々は心地よく受け入れることができるのか、ということについて説明をしてくれた。

ここは俺的にはあまり納得できていないので、今はここに書くのは控えよう。

 

(ちなみにバークリーの理論では、ブルースは長調に♯9の音を加えたものだと解釈するらしい。

短三度ではなく。確かにそれで(音楽理論としては)説明はできているが、

屁理屈だとしか思えないし、自然物理学的な説明ができない。

そういう意味で濱瀬氏の考えることは大変意義のあることなのだ。)

 

 

まぁ、こんな感じの授業を受けてきました。

もしかしたらこのブログ読んでる人の中にも受けてた人いるのかな。

半年間とても楽しい授業だった。

菊池氏、大谷氏、どうもありがとう。来年度も期待しています。

 

 

・・・もうすぐ期末試験だ。どうしよう。。

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若井優也 について

jazz piano, mathematics, igo, shogi.
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